代表理事挨拶

代表理事挨拶

日本栄養セラピスト協会【JNTA】は、施術現場で栄養学を駆使し、疾患の施術あるいは、予防を目的に設立されました。
手技だけでは補えない痛みや悩みに対し視点を変えいわゆる栄養失調、欠乏症などにも新たな可能性を模索して研究をしています。
今までになかった新たな治療の扉を開けると言う重要な使命を担っていく理事長に選任された責任を重く受け止めています。

問題は、痛みの原因は本当は何があるのか?
今、食物が十分に満たされたかにみえる世界において、果たして栄養学は必要かということです。その目で眺めなおしてみると、過食による肥満に伴う様々な病気の発生、一方、痩せ願望、偏食、高齢化による筋肉減少症、また長期慢性疾患(癌、呼吸器疾患、リウマチ様関節炎)での羸痩、栄養不良の増加、病棟における栄養管理の不適切さなど、無視できない問題が、山積していることに気づきます。
また、臨床で用いられている栄養関連指針も根拠があいまいなまま、50年以上踏襲されていたり、また一旦出した食事箋についてフィードバックを掛け、見直してゆくことが習慣化されていない臨床現場には、疑問を持たざるを得ません。木を観て森を見ず、あるいは、各論優先の栄養管理の見直しも必要と思います。

改めて今、時代に即した臨床栄養学の再構築、即ち、食事療法の内容と体制の見直しを図る時期に来ていると思われます。
それには、
栄養処方箋において、栄養アセスメントと体組成を調整することを優先した総エネルギー、蛋白脂質糖質組成の決定と、その修正を行えるフィードバックシステムの定着化
栄養学の更に細分化した分子栄養学から痛みの改善と、原因の改善における臨床データの蓄積と確信
上記体制を理解、指導できる治療家の人材育成
が、いま本会に求められている使命と思われます。まずは、これらが円滑に行われるチームのモデル拠点づくりから始めたいと思います。
ここに改めて、会員の諸先生方のご理解と、ご活躍をお願いする次第です。

                           日本栄養セラピスト協会 代表理事  奥野 剛志